2013年12月09日

みかんを狩る前に肉を狩っていた人達の話

みかんを狩る前に肉を狩っていた人達の話 2013年12月6日(金)
1人の無謀な若者が百獣の王者である獅子に牙を剥いた。

製造部精密課 岸田力(左)が言った。
「僕、鍋大好物なんですよ」

それに対し歴戦の覇者 浜松営業所 石神征(右)はこう答えた。
「挑戦する度胸のない若者は嫌いだが、威勢がいいだけの身の程知らずはもっと嫌いだ」

そんな無謀な若者に期待をいただく支援者が2名。
中部営業所所長兼浜松営業所所長 藤本幸司。
そして島根益田工場より研修に来ている大庭である。
「世代交代のときだと思う」「こいつはマジでめちゃくちゃ食うんですよ」
2人は期待と希望を込めて岸田のセコンドに付いた。


一方、チャンプの圧倒的な力を支持するものが2名。
製造部精密課 入社2年目の杉浦と納富である。
2人の熱い目線には言葉は必要なかった。
短い期間ながらも彼から寵愛を受けてきた2人には、その男を信じる以外の選択肢はなかったと言う。


決戦のゴングが鳴り響き、いざ勝負の火蓋が切って落とされた。

ルールは非常にシンプルである。
対決品目はしゃぶしゃぶ。次から次へと供給される肉の皿を最終的にその傍らに何枚添えられるか。ただそれだけだ。(舞台提供:愛知県安城市“鍋こまち”)

序盤、血と肉に飢えた2匹の捕食者にとってお互いのスピードやペースは興味がない。
ただひたすら己の空腹を満たす作業を行うのみである。

「豚ロースを10人前!」「国産和牛を20人前!!」負けじと4人のセコンドも、獲物を舞台へと誘う。


お互い10皿を越えたあたりだろうか。そこから勝負は欲望を超越し悪魔が顔を出し始める。

―そう、茹でた肉は硬いのである。
獣の如き食欲を持つ2人も体や牙の構造は人間のそれでしかなく、犬歯が肉を引き裂いていかなくなるのである。

噛むたび刺激される満腹中枢。
いつまでたっても頬袋で滞留する肉の塊。
傍らでマグロや豆腐やねぎを嗜むセコンドたち。
その全てが岸田の闘争心を少しずつ削いでいく。

一報王者の箸は止まらない。
両手で道具を使い文明を持った人類の叡智と、生存本能のまま捕食を行う獣の魂を共に宿らせた男の姿は、貫禄そのものであった。

「パキッ」
なにかの音がした。

言うまでもない。身の程を知らず獅子に戦いを挑んだ兎の心の折れる音である。

19皿目の肉の茹で上がったものを目にしたとき、

「すみませんでした・・・」
小さく呟かれたこの言葉に対し、セコンドの藤本所長はタオルが投げつけた。

岸田の目に浮かぶもの、それはこれまでたいらげた肉汁だけではない。
己の慢心に対する恥ずかしさ、そして初めてどうすることもできない敵に直面したことで自然と溢れ出た涙であった。

みかんを狩る前に肉を狩っていた人達の話 岸田の傍らに19の皿が積まれた時
石神はそれを遥かに凌ぐ24ものバベルの塔が築いていたのである。

90分に渡る死闘は奇しくもお互いに歳の数だけの皿を積み上げ、王者の圧勝で幕を降ろしたのであった。


勝利時のインタビューに対し無常にも石神はこう言い放った。
「やる前からわかっていた。私という壁は彼にはまだ高かった。」
「数字が結果を示した通り、その差が全てです。たとえ5年後であっても結果は同じです。」

その言葉の端々をどのように捉えるのか、それは彼次第である。

そう、男岸田の本当の戦いはまだ始まったばかりなのである。


以下、エピローグ。

みかんを狩る前に肉を狩っていた人達の話 (写真左から納富・石神・杉浦・岸田・藤本所長・大庭)

これがなんのために行われた戦いなのかは誰にもわかりません。
ただ一つ明らかなことは、王者石神はこの戦いを以って完全にフードファイトの引退を表明したということです。

そしてその翌日、岸田はまたしても戦いという名の檻の中に身を投じることになりますがそれはまた別のお話・・・・


(文責:浜松営業所 石神)


2013年12月09日

死闘の果てに

食欲を満たした後は遊ぶだけです。

遊ぶことは自由です。たとえそれが性別を超越することえあっても。

死闘の果てに

死闘の果てに (左から製造部精密課 杉浦・納冨・岸田)





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